『この世界の片隅に』――失われたものを思うこと

その戦争が終わったとき、すずは怒っていた。
「なにが総力戦だ。まだここに5人も残ってるのに。左手も両足もあるのに」と。
家族を体を食物を、すべてを奪う争いについに終止符が打たれたというのに、すずは怒っていた。
 
すずはとりわけ愛国者というわけではない。勝敗にこだわるタチでもない。
それにも拘わらず、すずはこみ上げてくる怒りを抑えられずにいた。
 

 
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